エノハというのはヤマメ、アマゴの九州地方での呼び名である。
この渓流に住むトラウトは全国的に色んな呼び名がある。それだけ地域に根ざしていた魚
なんだろう。ちなみに九州でもその他に“マダラ”という呼び名がある。九州山地を中心にした
どちらかというと九州の南(宮崎、熊本)ではそう呼んでいるエリアもある。但し僕の知る限り
マダラに関してはパーマークくっきり&びっしりの天然系に近いタイプを特定して呼んでいる
みたいで、銀毛しているタイプはそうは呼ばない。いかに九州山地には天然系のヤマメが多
いかを物語っているのではないか!
更に僕の地元でもそれに近い部分が多く見受けられる。ただ微妙に違うのは銀毛していても
うっすらとパーマークが残っていれば「エノハ」なのである。そして、九州でのエノハといえば
ヤマメが中心であるが、僕の地元はアマゴ圏。昔からエノハといえば朱や赤の宝石を
まとったアマゴの事だったし、逆に高校になるまでヤマメを釣った事がなかった。
ちょっと憧れの魚でもあった。地元の古老の方々はヤマメ、アマゴという意識は関係なく
パーマークのあるトラウト(ニジ、岩魚は別)全てに対しエノハというくくり方で理解している
ようである。では、ここで述べているエノハとは?
その特徴は?もちろん濃紺のパーマークがくっきり着いてるのは当然なのだが放流魚との
大きな違いは放流魚の殆どが銀毛化しており、ウロコが白銀でところどころ飛んでいるのに
対し、肌に白銀のきらめきは無く、全体にくすんだような体色でなんとも言えない沈んだ
ヌメリ感が特徴だ。更に背中にはびっしりと濃い斑点がついておりパーマークもくっきり。
中にはお腹も濃紺の斑点で覆われている。表情も1つとして同じ固体が存在しないのが
特徴だ。しかしここまでの魚体を求めると後で述べる「本エノハ」になってしまう。
というのは現在の河川では稚魚や受精卵での放流も行われており、そういった魚体にも
パーマークはしっかり現れる固体もある。(放流魚に関しては別の章で語ります)
その魚体と“エノハ”を見分けるのは実に困難で正直解らないと思う。
だから僕はあまり難しく考えずパーマークのくっきり着いている魚体を、放流、天然系に
関わらず「エノハ」と呼ぶことにしている。
その他“モドリ”を含む放流魚や本流物は全て「ヤマメ」、「アマゴ」という表現をしている。
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