サクラマスはご存知ヤマメの降海型の事である。上流で産卵したサクラは翌々年の春
海水に対応する魚体になるため、全身ギンピカのウロコに覆われ群れになって川を下る。
これがスモルト=銀毛と呼ばれる固体で東北では“ヒカリ”と呼ばれている。
外見から擬似銀毛(戻り銀毛)と間違う人もいるとの事だが、ヒカリを見たことが無い僕も
間違いなく勘違いするだろう。そして海に下ったヒカリは「北上してオホーツク付近」まで
回遊してサクラとして帰ってくるという。
では、九州におけるサクラマスはどうか?僕は0に等しいと思う。各専門誌でもあるように
サクラの南限は島根県だと思う。ただ、勘違いしないでほしいのは僕の言っている南限は
釣りの対象として成り立っているかの南限である。今や九州でもサケが遡上する川(ほんの
数匹だが)がある訳だし、昔の文献を調べるとサクラが八代や延岡で“捕れた”という記録が
残っているとの話だ。しかし、それは本当に稀で偶然の出来事であったに過ぎないと思う。
要は毎年安定した固体と遡上が見込まれない限り(最低でも5本以上)サクラは存在しない
のに等しいのだ。しかし事実として残っているし、九州でサクラ!と期待はしてるし、
その為0に等しいと書いたのである。
毎年九州でも、サクラが上がったという話を耳にするがその殆どが
戻り銀毛=擬似銀毛である。戻り銀毛の中には河口まで下って遡上するタイプもいる。
それをサクラと勘違いしているのだが、サイズを聞くと大きくても40センチ(偶に50アップも
いるが)が殆どである。
僕自身何度も可能性のある本流で“サクラモドキ”と出会っているが、それは間違いなく
「モドリ銀毛」である。理由は何度かキープした方はお分かりだろうが、腹を開けてみると
アユや小魚(川魚)、川虫がびっしり詰まっている。サクラだったら川に入っているタイミング
で空っぽになってるのでは?また、その身は微妙なピンク色。完全に海での捕食生活を
送っていれば身は完全なサーモンピンク(サケ科の主食は甲殻類の為)にならないといけ
ない。そして妥協しても40センチ以下の固体をサクラと呼ぶのは(川に限り、ダム湖は別)
チョット寂しい気がする。では、なぜサクラは居ないのか?いやサクラにならないのか?
僕は専門家ではないので推論でしかないのだが、先にしたモドリはサクラとしてのDNAが
足りていないのでは?また、水温等の問題。サクラは海に下って北上する。しかし温暖の
九州の海を前に足踏み?をして戻り化する。更にたとえ海に下ってもサケほどの
回帰性が無いと言われるサクラだから、手前(東北)で遡上しているのでは?
まぁ本当の事はわからないが、そういった原因もあって本当のサクラが0に等しいのでは?
九州ではサクラ自体に縁が薄い為、それに対する考えも人それぞれマチマチ(戻りも含め
サクラと呼ぶ人も居る)で情報も少ないので勘違いする人も多いと思う。だから九州でサクラ
と出会う事はかなり難しい。ただし、50センチを超える魚体と出会えた時は銀毛ならば
状況に関係なく堂々と「サクラマス」と呼んだほうが、夢があって良いのではないだろうか?
|